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・東南亜マレーポリネシア系メラネシア系の土着民:祖霊神霊崇拝の探訪見聞 ・自然信仰に関わる珍談、奇談 ・自然信仰全般、特に私が関わるアフリカ土俗死霊崇拝の逸話 ・信仰に関わる人々の生き様など
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以下コラムは、私のトーゴに於けるフィールドワークのカウンターパートであるトーゴ人BORIS DOGBOEBI(ボリス・ドグボエビ)氏が記した、古のヴドゥ信仰の風習です。

ボリス・ドグボエビ:著
ニシヤマタケシ:翻訳
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私はBORIS DOGBOEBI(ボリス・ドグボエビ)と申します。西アフリカ・トーゴ共和国のトーゴ人ですが、トーゴという区分は欧米人の敷いた国という概念で、私自身はEWE(エヴェ)族という部族のエヴェ人です。ガーナからトーゴそしてベニンの沿岸に沿って分布する部族であり、比較的大きな部族です。信仰は、隣国ベニンのFon(フォン)族発祥のヴードゥー信仰を大多数が崇拝しております。

今回、私がカウンターパートを務め、そして西アフリカ発祥の自然信仰を崇める西山氏からの要望を受けました。現地人目線の逸話をという事で、私が棲み西山氏も訪トーゴの際は常宿を取られるADIDOGOME(アディドゴメ)という首都LOME(ロメ)の一地区に纏わるヴードゥーの逸話を御話させて頂きます。

最前に申し上げておきますが、エヴェ族の大多数は遠い昔と相変わらずヴードゥーを崇めており、纏わる神々が齎す威力を心底信用して居ります。俗に云う黒魔術も然る事乍ら、「ここぞ!」という場面や軋轢解消にヴードゥー黒魔術に委ねます。

アディドゴメ地区は、今でこそインフラが整い首都を構成する一部と成って居りますが、20年前までは木々が鬱蒼と茂る密林で在りました。10年前でも密林に近い有様で、インフラが整ったのは此処数年といったところです。エヴェの民は、其の密林の中に伝統家屋を拵え各々棲んで居ったわけです。

あの頃は、日が沈むと同時に外出をする者は居りませんでした。電気が通っていなかった事、此れとは別に「人攫い」が横行した時代で在った事がイの一番の理由です。攫われたら、まず生きて帰る事は有り得ませんでした。

当時のヴードゥー信仰は、代替えの家畜類の供犠は一時的な繋ぎであり、一番の供犠は「人間」此れ以上も以下も無い、という考えで有りました。ヴードゥーの神々へ捧げる供犠は、鶏やギネア(アフリカ原産の鶏)や山羊なぞ供し神々へ我慢して頂くが、黒魔術の際は十中八九、人間を供犠とする事を道理として居たのです。

攫われる類の人物は、稀に危急の用事で夜半出掛けた人物を標的にしました。ですが、その様な物騒な時代でも夜を好みふら付く阿呆も多々居った為に、此の類の人物も標的と成ったのです。

次に人を攫う方策ですが、攫う側は女装をしたりして標的を安心させたり、時には頭から足先まで衣にて覆い、何れも数人で襲う様な有様です。其の際、棍棒や山刀や鉈なんぞで脅して組み伏せるのですが、其の場で殺害しては大事な血液が流れてしまうだけで無く、残ったとしても新鮮さを失ってしまいます。従って、脅すのみで棍棒で引っ叩く、または山刀や鉈の柄で後頭部や鳩尾を強く殴り気絶させるのが普通で在りました。

前述とは別に路上生活するマッドマン(乞食)も、常時標的にされました。ただ、マッドマンの場合は血液は要らず内臓や生殖器を、其の場で殺害して取り去る事を目的として居りました。

勿論の事、攫った人物の血液は然るべき呪術の取引材料として、望む神霊に捧げられますが、残った肉体内部の心臓・肝臓・小腸・大腸・生殖器、そして頭部も別の術で他の神霊との取引材料に成る為に無駄にはしません。

人攫いの方策を簡易に述べましたが、攫う対象も多少吟味されます。栄養が行き届き、見た目活力の漲る個体は確実に標的として逃しません。何故なら、其の血液は熱く赤々として溶岩の様にパワー溢れる事は間違い無く、神霊に対し取引を遂行するに適し、受ける神霊も心底満足の行く代物で有るのです。

政治家や実業家や軍人・警官、此れらの人々はヴードゥー呪術師にとって大変贔屓な顧客です。政治家はライバルを蹴散らす事に日々余念無く邁進、実業家もライバル駆逐そして利益の独占。軍人や警官は、危険回避の防御を主体とし特権を駆使する事で、多少の越権も難無く逃れ安泰に地位を維持するが為に、ヴードゥーの威力に委ねるわけです。

近年では、アフリカ全土が熱狂する蹴球もヴードゥーが関連します。試合の勝敗は云わずもがな、各々選手も己の蹴球人生をより良くするが為に、ヴードゥーに委ねます。

さて、話の筋で感じられた方も居られると存じます。此の様な高位の人物の要望で有る為に、供物も見合ったレベルでなければいけません。前述した様に、パワー漲る個体が確実に必要なのです。従って、老体や女子供や病人や不具者は標的外となります。マッドマンに関しては、小汚いだけで身体が健常な者が多い。何故なら、青空生活の上に一糸纏わず、強いて申せば獣同然の生き方です。血液は不浄扱いしますが、内臓や生殖器は大いに活用可能なのです。余談ですが、此のマッドマンはインフラが整った現代に於いても、街中で可成りの数を見掛けます。

以上、私が幼少期から青年期にかけて耳にしたり目の当たりにしたアディドゴメ地区の逸話です。

此のコラムに於いて、如何なる方策で信仰に関連した人攫いが有ったのか?という題目にて記して参りました。今回は、其の攫った人物の行く末として、どのような形態で犠牲として捧げられるか。血液は?内臓なぞ肉体のパーツは?という疑問は割愛させて頂きます。此方に関しては、別の機会を頂いた際に記させて頂きます。

親愛なる読者の方々、アフリカ伝統信仰のほんの一端を記させて頂きました。西山氏から常々聞いて居りますが、常軌を逸したアフリカの信仰を結構日本人の方々も把握されて居られるとの事。ただ、アフリカ人にとって伝統信仰を重んじる姿勢というものは別腹で有る事を御知り置き頂きたい。国内は元より、欧米で高等教育を受け文明的な生活をする現代で有っても、信仰と成ると一気に精神と心が入れ替わります。謂わば、二つの精神と心を使い分け生きるのがアフリカ人と御理解頂ければ幸いです。

最後に、今現在は「人攫い」なぞ皆無と成ったと云いたいところですが、「価値が無い」と判断された者は、人として接して貰えないのがアフリカ社会です。麻薬常習者・不逞者・マッドマン(乞食)は、目の上のたん瘤といったところ・・。此れらの人物が、或る日忽然と姿を消しても誰も気にも留めません。実際、多々不明者は居ります。其れが攫われたか、野垂死んだかは神のみぞ知る、といったところです。

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土俗信仰のフィールドワーク
ニシヤマタケシ
www.khmersurin999.com
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