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・東南亜マレーポリネシア系メラネシア系の土着民:祖霊神霊崇拝の探訪見聞 ・自然信仰に関わる珍談、奇談 ・自然信仰全般、特に私が関わるアフリカ土俗死霊崇拝の逸話 ・信仰に関わる人々の生き様など
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2016/01/26
03:33:29
私がラオスの山奥を精力的に巡ったのは02年から06年迄ですから、彼是十年近く無沙汰をして居るわけです。すっかり止めたわけで無く、爾後、徐々に頻度が落ちて行き10年頃を境に、余程の事が無い限りラオス国内に関しては足を運ばなく成ったという感じです。今現在、未だに未開の様な暮らしをする山奥の少数民族ですが、能々土民の手元を見るとスマホを持ち、一生懸命SNSなぞ励む姿を目にする様に成りました。其の類の萌芽は、前述した様に06年辺りから芽生え、呆気なく土民の心を捉えて劇症ウィルスの如く蔓延しだしたので御座います。こう成ると培ってきた習慣や伝統なぞ容易く廃棄されてしまうもの。

或る時は、障害と成った人々の問題を霊的な力で排除。また或る時は、病に臥せった人々を霊的な力で同様に完治させてきた老齢のシャーマンは、表面上、土民から崇め奉られて居るが、スマホなぞで容易に仕入れた情報により、此の古びた伝統信仰と、其れに関わるシャーマンを忌まわしい迷信と土民達は腹の中で捉え、冷めた目で見る様に成ってしまったのです。結果、シャーマンを見る冷めた目は単なる爺や婆と成ってしまい世襲は以ての他、其れでも継ごうなぞという意気込みを持つ人物は全く無く成り、何世代も続いた各地の部落のシャーマンは大半絶たれてしまいました。

当地のラオ族が支配する共産政権は、見方に拠れば建前上、御目溢しと見ぬ振りをして居った少数民の精霊信仰が、多数のラオ族が崇める仏教と異にする為に、目の上のたん瘤と捉えて居たのが、政権側にとって本心といったところで御座います。無神論のソ連式社会主義で有るのに、宗教でヤキモキするのも可笑しな話です。詰めれば、人民を一体にする為にラオスの国(党)は仏教に集中させる事が都合良いわけで、逆に廃神廃仏に躍起に成らなかったのです。仏教を崇めない少数民族を如何様に対処するかと思いあぐねても、計画経済の頓挫で長年に渡って懐具合の悪かった共産政権は、万年金不足に陥り僻地へ手の回しようが有りませんでした。しかし近年の発展で懐具合が良く成り、此処十年で少数民の居る僻地に怒涛の如く寺社を建立し、気が付いて見れば皆々仏教に寝返って居ったという塩梅です。

云うまでも無く、僻地の少数民は学が有りません。此の部分が仇に成ったと私は考えて居るのです。豪奢な寺社が建立され、其処に移動して参った数多の出家僧、連日荘厳な鐘の音と読経が響き渡る。彼らには意味が解らないが、寺社に据えられた仏像や、印教の影響を受けた異様な偶像に加え荘厳な読経と鐘の音なぞから強く影響を受け、「此れは御利益有りそうだ!拝めば、高級な携帯電話が買えそうだ!」といった安直な思考で鞍替えしたのだと存じます。

確かに、精霊信仰は社も持たず、僧という信仰に仕える下僕も居りません。強いて云えば、ずっしりと聳え立つ山々や壮大な山河、巨大な岩や樹齢数千年の木々等々。此れらに感じ入り、感銘の域に達して畏れ奉るには、其れなりの洞察力や思考力が必要です。森羅万象に宿る精霊や先達の霊から与えられたと云う、一般人には全く見えない壮大な威力を備えたシャーマン。翻って、仏教僧の様に皆々坊主頭に糞掃衣、彼らが独特な声音で唱える読経、此の様に解り易い仏教と僧という繋がりが見出せず、あれだけ尊敬の念を込めて対峙して居たシャーマンを、奇妙な威力を語る脳患いの単なる気狂いか、小狡い道化師と鼻で笑う様に成ってしまったので御座います。


悪い云い回しを御容赦願いますが、学無く獣のような指向性の土民連中は、呆気なく見栄えの良い仏教の寺社や作法に感化されてしまいました。まるで、質素な餌で充分喜んで居った獣が、文明的な食物の残飯に偶々ありついた挙句の果て、以前までの食物が喰えなく成ってしまったという感じで・・・。

「もうシャーマン探しは限界か・・」

と感じ入ってから数年、其れでも何処其処に埋もれて居る、という情報を得ればいそいそと出張ったもの、抱いた印象とは程遠い人物で以前の様な気勢を持てず、終いには諦観の境地で巡り無駄に散財した時期も御座いました。出ない物は出ない、という当たり前の道理が中々己で受け入れる事が出来ない体たらくで在りました。爾後、原点に戻ってみる為にキューバへ渡航し、変わらぬアフリカ伝来伝統信仰の継続に揺るがないアフロの伝統維持、此れを然と見て感じ安心した為か、焦燥感が抜けラオスで行った盲目行為を改め反省し、シャーマンを期待出来ぬなら古のシャーマンが此の世に残した呪物を主体にすれば良しと閃いた事で、一気に憂いが晴れた思いでした。

其れから土俗の極みニューギニア島を皮切りに、パプアニューギニアと二分するインドネシア領パプア州にて、新たに作られた呪物では無い古のシャーマンが残した謂わば遺産の様な呪物を、土民部落を巡りながら尋ね廻った次第です。計三回のパプア訪問。実際のところ、呪物に関しては芳しい成果が挙がりませんでした。原始が強すぎるパプア人は、直截的な物ばかりで有った事。例えば、生前に功を成した人物の木乃伊や嬰児の骨粉等々といったもので、前者は堂に据えて崇め、後者は様々な災難の排除や欲望を満たす際に、少量づつ使用して参る。易く云えば、我々が三度の飯を喰うように個々が生まれながら霊的な方策を備え使いこなす事が出来るのです。人々の生に呪術や霊療術が密着して居り各々が呪術師の要素を備えて居る。当初の目的「古のシャーマンが残した呪物探索」此れとは掛け離れた結果であったが、神霊や祖霊にアプローチする為のツールを此れでもか、と見せられた事に依り原物を霊的に当て嵌める智慧を得る事が出来たのです。此れは此れで多大な収穫で在りました。

ポリネシア系・ミクロネシア系・メラネシア系・パプア含めたアボリジニ系、汎南方系と安易に括らせて頂きますが、此れら種族の古の時代は己の狭い領内を離れたが最後、常に今生家族とも仲間とも二度と会う事も、更に棲み慣れた部落にも帰れないと思いながら出掛ける生活で在ったと云います。ジャングル内に各々堅牢な防御壁、若しくは高床で四方から敵の侵入を警戒する事が出来、尚且つ、獰猛な獣除けにも成る部落なぞを設け、同部落以外は全て敵と見做し棲んで居りました。
殺伐と獣のように過ごす為、「張り番」が重要な役目に成るのであります。何時しか、人の「張り番」に代わり木偶の「張り番」が作られるように成りました。直立し両手を横に伸ばした「やじろべえ」の様な木偶や、体育座りをし一心に前方を監視する木偶。主体は部落の入り口や家屋の門前、其処に据える事でした。云うまでも無く各々部落に居るシャーマンが魂を込めて、霊的な威力で災難を齎す人や獣は勿論の事、怨霊や邪霊を避ける目的が大きく占めて居ります。

一年掛けてボルネオ島参りした結果、マレー領のサラワクやインドネシア領のカリマンタンにて、古のシャーマンが作成入魂した様々な木偶と遭遇しました。大は門前に据える数メートルに及ぶ巨大な物から小は小指大の数センチの物まで。単に「張り番」という役割を越えて、霊的な結界の役割を果たす木偶が有る事も知りました。原材料で使われるボルネオ原産の鉄木は、其の名の如く鉄の様に硬く重みが有ります。虫が喰う事の出来ない木で黒檀に酷似して居るのです。此の原材料にて、古の熟練シャーマンが精魂込めて作成した後に入魂。此の様に思うだけで、木偶に触れた手から電気が走る思いを致しました。変わり種は、狩猟にて使う獣騙し用に「張り番」の木偶が改良された物。座位の木偶に長めの棒が付いた物で、狩猟の際に猪の通る道の土中に棒の部分を差し込んで置く。通り掛かった猪は、木偶の目前で棒立ちに成り身動きが出来なく成ってしまう、其の隙に吹矢にて止めを刺すのです。

インドネシア側の西カリマンタン最大の町ポンティアナク市から、二百キロ北上した限りなくマレーのサラワク州に近寄ったスナキン部落という、先住民ダヤク族の部落へ立ち寄った際、土民の方が何十年も前に亡くなった部落のシャーマンが入魂した狩猟用の木偶を見せて呉れたのです。土中に埋めた木偶の前で猪がフリーズしてしまうものなのか?私としては、見ずとも肯定はして居りましたが、親切にも作用が有るか否か「見せて遣る・・」と云う。豚で試すと申すので、部落で飼う豚の居る豚小屋へ私を促しました。豚小屋にて檻面前の土中に木偶を突き刺したところ、騒がしく鳴き動き回っていた豚の動作が止み鳴き声も止んでしまいました。私が感心しながら土民の顔を見ると、土民は自慢げに笑って居りました。爾後、木偶を抜くと豚共は豪勢に鳴き忙しく動き出した次第です。

シャーマンが老年に達し続々とくたばり、容易に凄いと太鼓判の押せるシャーマンに巡り遭えなくなった現在、呪物探索に方向性を変えた事は良策であったと思う今日此の頃で御座います。

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