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・東南亜マレーポリネシア系メラネシア系の土着民:祖霊神霊崇拝の探訪見聞 ・自然信仰に関わる珍談、奇談 ・自然信仰全般、特に私が関わるアフリカ土俗死霊崇拝の逸話 ・信仰に関わる人々の生き様など
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19:51:02
クワ科の木で「ガジュマル」という植物が御座います。生命力が強く、蛸の足のような幹や気根は幾枝にも枝分かれして行き、様々な物を呑み込み、何もかも一体化してしまいます。日本に於いては沖縄や小笠原に見られ、特に沖縄では「魔除け」として信奉され、精霊の宿る木と云う事で庶民は崇拝の対象として居るわけです。

当地インドシナに於いても、ガジュマルは畏怖を含めた崇拝の対象と成って居り、辺鄙な場所に大木が鎮座する光景を見る事が出来ます。精霊に加え、あらゆる霊魂がガジュマルに据わると云われていることから、一般人が簡易に切れば「不運を呼び起こす」と云われ、祟られる事を恐れるが為で御座います。このようにクワ科の木は霊的な成分を持ち、見た目も荘厳。禍々しくも見える妖しい木なのであります。

キューバ在住時代、私は西アフリカ・バントゥーの奴隷土人が齎した神霊信仰に関わった事に因り、其れ以降、人生全て霊的な面を主体に生きて参りました。十三年前から棲む此処ラオスは云うに及ばず、来た目的も活動するに相応しいと捉え、棲みついた経緯も全てが霊性主体。

其の中で、クワ科の木に纏わる話が御座います。ラオスに棲み始めてから、数年は借家住いで在りました。家屋を購入なぞ毛頭考えておらなかった頃、

「市内中心部に一軒家が有るが買わないか?」

と、と或るラオス人から持ち掛けられたのです。それもタダ同然の金額、狡猾なラオス人が持ち掛けるので有るから、間違い無く「曰く付き」物件と思って居りました。どうせ自殺や殺人なぞあったに違いない……。そんな感じで御座いましたが、例え自縛した霊が徘徊して居っても、私には対策が有りますので余り気にせず購入したわけです。

ところが──。蓋を開けてみれば其処は樹齢数百年を越えたクワ科の大木が敷地内に跨って居ったのです。家屋の在るパクタン村は代々凄絶な霊媒師を輩出することで知られ、一昔前は「ビエンチャンのパクタン村」という村名だけで、良くも悪くも全国に名が轟いて居りました。パクタン村の邪霊及び呪術師──此の名を聞いただけで皆々畏れ慄く時代が有ったのです。しかし、75年に政権を握った無神論の共産政権は一気に迷信の排除に取り掛かり、(彼らとしては)悪名高いパクタン村の呪術師を集中的に狩った事に因り殲滅されてしまいました。しかし、彼ら呪術師が居なくなっても、彼らが仕えた邪霊の棲む密林は今でも活きて居るのです。

其の名残が私の家に跨る大木、其れに加え村内に同様の大木が五つほど残存して居るのです。また、首都の中心部で有るにも関わらず広大な密林が広がり、密林奥には古の術師が建てた邪霊を奉る大きな社も御座います。発展・開発に湧くラオスですが、此の一帯のみ手を付ける者は全く居りません。

稀に病を患った老女の家族などから「婆さんの体調が悪いのです。あんたの家の木に棲む霊と契を結ばせて遣って呉れませんか?」等と請われることがあり、彼らは屋内の大木面前で儀式を行います。これは、彼の世と此の世を隔てた婚姻のようなもの。意味合いとして、大病に苦しまず、死ぬとしても安らかに彼の世へ行けるよう、大木に棲む霊と契を交わすわけで御座います。思えば此の様な家を、ただ同然で手に入れ棲んだ経緯は家屋に跨るクワ科の大木に招かれたと存じます。
 
さて、同じクワ科でも「更に上を行く木」が有ります。当地にて「クアカオロム」と呼称されるガジュマルに似通った同科の木で御座います。

ガジュマルと同様のクワ科で、矢張り幹は多数に分岐し基本的に気根を地面に垂らすが、ガジュマルよりも本体はかなり細く、気根は地面に垂らすというより、地面に一旦潜り、新芽のように地面から突出し、先端は薇のように渦巻いて頭を出して居る。ガジュマルなぞと違い、誰でも御目に掛かる事が出来るわけで無く、木が良しとする人物以外には「姿を見せず」、それ自体が意思を持ち、正に「妖木」という言葉が当て嵌まります。

主に山野に分布して居り、山野を生業とする者が知らずに気根を跨いだ場合、神隠しに遭うとされて居ります。人だけでは無く、獣も同様に跨ぐと神隠しの作用に苛まれ、同じ場所を延々と巡った末に命運尽きる場合も有るのです。運良くクアカオロムの気根先端のトグロ状部分を発見した者は、其れを知らずとも「摘んで持って行かなければ……」という衝動に駆られ、爾後、霊験新たかな方に相談し始めて幸運を齎す妖木と知るのです。

更に幸運なパターンは、クアカオロムの本体に遭遇する事で御座います。大木の下に居ると、夜を明かしても獣の目にも留まらず、毒虫や病を媒介する害虫なぞの感覚にも留まらないのです。クアカオロムを手に入れても、ただ持つだけでは意味が有りません。常日頃「クアカオロム」に語り掛け、己の願望を打ち明ける必要が有ります。そのような積み重ねでクアカオロムと一体に成る必要が有り、結果クアカオロムの御利益を存分に享受出来るのです。

此のように、自然な導きで手に入れる事が本望ですが、高僧や呪術師へ取得を依頼して然るべき移譲の儀礼を行って授受する場合も御座います。また、クアカオロムは主の意向を反映する為、同様な儀礼を通じて第三者への移譲も有るのです。

現世利益を追求するのは浮世人の常……。取引額は自動車一台の価格を裕に越すというのが現状で御座います。が、其の金額を払えるのは富裕者のみ。皮肉な事に、彼の世の事象も此の世の事象も、富める者は更に富み、貧しい物は更に困窮を極めるというのが実態で御座います。

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