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・東南亜マレーポリネシア系メラネシア系の土着民:祖霊神霊崇拝の探訪見聞 ・自然信仰に関わる珍談、奇談 ・自然信仰全般、特に私が関わるアフリカ土俗死霊崇拝の逸話 ・信仰に関わる人々の生き様など
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2014/12/07
17:18:59
芥川賞作家・西村賢太──。何かと話題の多い作家ですが、近年は売りにして居た極貧が解消されてしまったせいか、私小説の主体が失われてしまい、消えて行くような方向性に有るようです……。


狭い世界の事象を綴るわけですから、マンネリ化が進み飽きられて行くのは私小説作家の性かもしれません。一番の原因は懐が大いに潤い、金銭で齷齪(あくせく)する事が無くなってしまった為かと存じます。


ただ、私が注目するのは、大正末期から昭和初期に、ほぼ無名のままに異常な死に方をした作家・藤沢清造への異常な入れ込み方です。此の人物に傾倒した西村は、赤の他人である藤沢に「縁故が無い」という理由から、月命日を自費で実施したり、古く朽ち果てた卒塔婆を身請けして、己の部屋に据えるといった一風変わった事をして居るのです。「没後弟子」を自称し、其れがエスカレートした結果なのですが、終いには清造の墓の横に生前墓まで建てる始末……。


もう一人は鬼太郎で有名に成り、今では誰もが知る漫画家の水木しげる。


昭和30年代、極貧の貸本漫画描きだった水木。其の頃の趣味というのが、己のオンボロ自転車で調布の寂れた墓地を巡り、無縁仏を見つけては、順繰りに小便を掛けて遣る事だったそうです。本人曰く、「小便を掛けて遣ると、霊が心から喜ぶのが判った。」私自身、此の両名の作品を面白く読んだりしたのですが、一見、奇行とも取れる彼らの行動に、大いなる興味を持ちました。思うに、両名ともどん底の生活を味わい卑屈に成った時期も長く、此の世に神なぞ居らぬ──という信念が染み付いた性質であったと存じます。信心と程遠い生活、其れは、彼らの作品にも重々滲み出て居ります。しかし、両名とも知らぬ内に、祖霊崇拝的な行為をして居ったのが実際のところです。前者は慕う心から、身銭を切って月命日を実施し、更には朽ちた卒塔婆を身請けして傍らに置く生活。後者は、無縁仏に対し己の体内から出る小便を掛けて遣る行為。何れも信心の方策を知る由も無いのですから、単に己が良しとする方法で遣っただけの事です。

 
アフリカ・ナイジェリアのヨルバ族は、無数に存在する祖霊精霊崇拝のひとつに、EGUNGUN(エグングン)信仰というものを持って居ります。祖霊死霊に焦点を中てた信仰で、全く時間も費用も掛からず、直ぐにでも実行出来る信仰です。


杖を一本用意して、其の杖の上部に大き目の鈴を紐で括り付ける。皿に注いだ水を自宅の四隅の何れかに据え、其処に前述の杖も同じく据えるのです。後は、手前に蝋燭を立てて灯し、杖を地べたに打ち鳴らすことに拠り、浮遊する霊は杖の音と鈴の音で心地が良くなり、据えられた皿の水を己の居場所とするわけです。清浄な水は、低質な霊が寄る事は出来ず、共に据わる杖と鈴が三拍子揃う事で、質の良い霊を呼び込む事が可能なのです。高揚して行くと、己の祖霊や尊敬する今は亡き人物の肖像や、生前大事にして居った物、更に好物なぞも据えていくわけです。

 
私の中で、西村・水木両名の行為が、此のエグングン信仰とだぶりました。水木に関しては、小便を掛けるなぞ、一瞬とても失敬極まりない行為に見えますが、実は正反対なのです。 肉体を失って久しい霊は、生前味わった体液を懐かしく思い、常時餓えた状態に有るのです。勿論、血液を供物として捧げるのが常套ですが、小便も彼らに取っては上物です。況してや、誰ぞも訪れぬ無縁仏にとって、其れは甘露以外の何物でも有りません。オンボロ自転車に乗って日々訪れる水木を、彼らは常に待ち詫びたで在ろう事は間違い無いのです。

 
私が信仰というものに懐疑的で在った頃、思えば様々な困難続きで有ったと存じます。キューバでの生活は、世界が東西に分かれ共産圏全盛で在った頃で有り、留学とは名ばかりの立場。配給食では体が保たず、常時「腹を満たす為にどうすれば良いだろうか……」其ればかりが脳内を巡って居りました。全て国営で有るキューバでアルバイトなぞ、大いに甘い話。何をしたかというと人民住宅の建設作業員。金銭なぞ一銭も貰えず、肉体労働と云う事で、配給食がとても良くなるというだけです。
元々は本業にして居る作業員と、自宅を欲する人民が、二年作業する事で無償にて人民住宅を一棟与えられるという、共産圏独特のシステムで御座います。あの頃は、穿き放しの一本のジーンズと、元々白で有ったが汗・泥・血液、その他の体液で焦げ茶色に煮しめたような二枚のTシャツで過ごして居りました。ジーンズもまた、汗・油・塵芥・泥・血液が染み込み、硬くなりベトベトして居りました。己の容貌は、浮浪者の様で在ったと存じます……。以上のような経緯が渡航後、二年間ほど継続致しました。爾後、喰えないと謂う、どん底の極貧生活を味わった後、藁をも掴む思いから祖霊精霊崇拝と出会い、傾倒して行くに連れ、己の憂いは片付いて行ったわけです。喰う為を通り越して、他人が一生出来ない事も遣って来れたわけで御座います。


手前で云うのも何ですが、己は信仰に忠実な徒で有ると自負して居ります。何よりも、血約を交わした霊とは盟友、否、己の分身そして運命共同体で有ると心得て居ります。以上の事を踏まえ、霊との付き合いというのは、ギブアンドテイクで有ると申し上げます。前述した両名の背後で、霊が奮闘し現世利益を与えた事は、火を見るより明らかという事で御座います。


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